配偶者が浮気をしているとしたら、浮気の証拠を掴むことが大切です。
ただし、浮気の証拠と言っても相手が浮気と認めるか定かでない弱い証拠から法廷でも有力な強い証拠までさまざまです。話し合いを有利にすすめたいのなら強い証拠を掴む必要がありますが、どのような物が強い証拠となるか、集める方法やコツ・リスクなども詳しく解説していきます。
浮気の証拠集めをする際の参考にしていただけたら幸いです。
どこから浮気になる?
配偶者や恋人が浮気をしていると感じる基準は人それぞれだと思います。異性と二人きりで食事をしたら浮気と感じる人もいれば、キスをしたら浮気と判断する人もいることでしょう。そのように、個人で考えるには浮気の基準はバラバラですが、法律的には浮気(不貞)の定義が定められています。
民法上では不貞行為を“自らの意思で配偶者以外の異性と肉体関係を持つ事”としています。
ようするに、体の関係を伴わない二人だけの食事やキスでは不貞行為にならないという事になります。
それは、法律的に不貞を証明するには肉体関係を示す証拠が必要になるという事を意味します。
問い詰めるのは後、まず証拠を集める
一緒に暮らしてきた配偶者ですから、「以前はこうではなかった。何か変わったな。」と変化が気になる事があります。
浮気相手の存在を思わせるような、不審な行動がいくつか見られると、疑わざるをえないでしょう。
しかし、どんなに疑わしくても浮気しているに違いないと思っても、その兆候があるというだけで問い詰めるのは正しい判断とは言えません。
「急に残業が増えて帰宅が遅くなった」「服装の好みが変わった」「スマホのロックをかけ始めた」など、明らかに不自然だと思う行動はいくつあろうとも確かな証拠とは言えず、「肉体関係があったこと」を証明できてこそ浮気の証拠と言えるのです。
配偶者に浮気の事実を問い詰める際、言い逃れができてしまう内容も証拠としては不十分です。やたら帰宅が遅くなっても浮気とは限りません。急にオシャレに気を使い出しても不自然ですが浮気でなくてもあり得る事で、いくらでも言い逃れができます。
言い逃れができてしまう状況では問い詰めたとしても真実を語る事はなく、さらに疑われている事に気が付いた配偶者は浮気の証拠隠蔽を図る可能性まで出てきてしまいます。そうなると、その後に浮気の証拠を掴むことが難しくなってしまいます。
つまり、本人に問い詰める前に言い逃れが出来ない確実な証拠集めることが重要です。
浮気の証拠には「強い」と「弱い」がある?
配偶者と浮気相手との肉体関係を確実に証明できるものは、浮気の証拠として「強い」と言えます。そういった強い証拠があれば慰謝料請求や離婚訴訟など法的な措置を取る事になったとしても有力です。
他方、浮気の可能性を示したとしても、確実に浮気しているとまでは言えない物は、証拠能力が「弱い」と言わざるを得ません。
このように、証拠なら何でも同じではなく「強い証拠」と「弱い証拠」があって、できるだけ強い証拠を集めるべきだと言えます。
強い証拠とその集め方
浮気の証拠集めでは、どのような物が強い証拠となるのでしょう。また、強い証拠をどのように集めればよいのでしょうか。
裁判や調停でも有効となる強い証拠の種類と集める時のコツや注意点についてご紹介します。
・宿泊施設へ出入りするところの写真や動画
・メール、メッセージの履歴
・クレジットカードの利用履歴や領収書
・調査報告書
1.宿泊施設へ出入りするところの写真や動画
写真や動画は浮気の証拠になりますが、配偶者と浮気相手がデートで手をつないで歩いている場面を撮影しても、それは浮気の強い証拠になるとは言えません。
浮気の強い証拠となるのは、「浮気相手との肉体関係を明らかに示す写真や動画」が強い証拠となります。
たとえば、性行為中の写真や動画、ラブホテルへ出入りするところの映像が手に入れば、それはとても強い証拠となり得ます。
また、浮気相手と宿泊を伴う旅行をしたときの写真や映像も、強い証拠と言えるでしょう。
集める時のコツや注意点
少し前までは盗撮を取り締まる刑法はありませんでしたが、スマートフォンの普及による盗撮件数の増加などにより2023年7月13日 人の性的行為や体の性的な部位や下着などを相手の同意なく撮影したり、盗撮したりする罪(性的姿態等撮影罪)が施行されました。
これにより、性行為中の写真を当事者以外が映像に残すことは刑法違反になる可能性が非常に高く撮影するわけにはいきません。
そのため、肉体関係を明らかにするにはラブホテルや宿泊施設への出入りを映像に残すことが現実的です。ラブホテルなどの宿泊施設に出入りする映像については、その出入口で顔がはっきりとわかるように撮影する必要があります。
また、入った時間と出た時間が分かるように撮影する事も重要です。たとえ宿泊施設に入ったとしても短時間で出ていた場合、性行為は無かったと言われてしまう可能性があります。そのため、一定時間(40分程度以上)の滞在がわかるように撮影しなければいけません。
そして、浮気相手の自宅への出入りも浮気の証拠として有効となります。ただし、自宅への出入りはラブホテルという性行為を行うと一般的に認識されている施設に比べて短時間の出入りでは性行為があったとは推認されづらい傾向です。
そのため、数回・数時間の出入りを撮影する事が好ましいでしょう。
2.メール・メッセージの履歴
浮気相手とコミュニケーションを取る際にほとんどの方がスマホを利用します。メールやメッセージアプリなどには、いつどこで会うのかを決めたり、「大好き」と愛情表現をしていたりと、盛んに会話している様子が見られるでしょう。
その会話の中で、性交渉があることを示す会話があれば重要な浮気の証拠になります。
ただし、会話だけでは「ただふざけて言っていただけ」などと言い訳が出来てしまう可能性もあるので注意が必要です。
集める時のコツや注意点
配偶者のスマホのメッセージ履歴を調べる事になります。「体の相性最高だった!またしようね」「こないだの旅行楽しかったね!次は海外旅行へ行こうね」など、性行為があった事を示すものや宿泊を伴った旅行の話などの履歴がないかチェックしましょう。
一緒に食事をした、デートした、好意を寄せる内容ではなく、性交渉があったことを示す会話でなければ強い証拠になるとは言えません。また、ラブホテルへの出入りなどの写真に比べると証拠能力も劣るので、できるだけたくさん見つけましょう。
また、メッセージの内容とラブホテルに行った時の領収書などの証拠が合わさると証拠として強くなります。そして、それらの会話を見つけた場合は画面に表示した状態でスマホごと撮影しておくと証拠になり得ます。
ただし、配偶者のスマホを勝手に見る場合、プライバシー権の侵害で損害賠償請求をされる可能性がある行為となりますので注意してください。
3.クレジットカードの利用履歴や領収書
ラブホテルでクレジットカード決済を行えば利用履歴に残ります。また支払い後に発行されるレシートや領収書にラブホテルの名前が入っていれば行った事がわかるでしょう。
相手に送ったであろうプレゼントの領収書や高級レストランの領収書では強い証拠とは言えません。利用履歴や領収書で強い証拠となるのはラブホテルや宿泊施設の物に限られます。
集める時のコツや注意点
ラブホテルでクレジットカードを利用した際はその名称にラブホテルの名前が記載されている事もありますが、「○○興業」「○○観光」「株式会社○○」など、一見ラブホテルとはわからない名称で記載される事が多数です。
クレジットカードの明細を毎月チェックし、10000円前後の怪しい引き落としが無いか見てみましょう。怪しい名称をネットで検索するとラブホテル名が出てくることがあります。
また、領収書もすぐに破棄する可能性が高いですが、財布の中やポケットの中に入れたまま帰ってしまう事もあります。ゴミ箱に捨てられた物に紛れている事もあるので根気よく探していると見つかる事があります。
ただし、そういった利用履歴や領収書では行ったことがわかったとしても相手まで判明するとは考えづらいです。浮気相手に慰謝料請求などをしたい場合はこれだけでは情報量としてたりません。
4.調査報告書
探偵に浮気調査を依頼した場合、いつどこで浮気の証拠をつかんだのか、浮気相手がどこの誰なのか、など調査対象者の行動を具体的に記された調査報告書が作成されます。
配偶者が浮気をしていた場合、その事実が詳細に記された調査報告書は裁判でも提出できる強い証拠となります。
集める時のコツや注意点
調査報告書は素人ではなく探偵が調査の結果をまとめたものとなります。ただし、調査報告書ならどのような物でも良いわけではありません。
誰が見ても浮気をしていると分かる写真などの証拠が時系列でわかりやすく記載されている物でなければ意味がありません。
依頼する探偵によっては、写真の質や記載内容が悪く浮気が証明できない可能性もあります。
よって、探偵に浮気調査を依頼する際に、裁判でも通用する調査報告書が作成できる探偵かどうかを判断する必要があります。
探偵を選ぶ際に、探偵事務所で調査報告書のサンプルを見せてもらうなどして優れた探偵を選びましょう。
浮気の証拠としては弱い物
弱い証拠も複数集めれば配偶者に浮気を認めさせる程度の証拠になる可能性もあります。
浮気の証拠としては弱いですが、全く無意味というわけではないので以下の証拠があれば保管しておくと良いでしょう。
・SNS
非公開のアカウントだから他人に見られることはないと思って、配偶者や浮気相手がSNSに浮気を公言するような内容の投稿をするという事があります。ラブホテルの中で一緒に撮っている写真、旅行に行ったことなどが堂々と書かれているかもしれません。
それらの写真を集めれば、内容によっては浮気の証拠になるでしょう。
・避妊具や性交道具の使用
配偶者が避妊用具や性行為に使う道具など購入し、自分の知らない所で使用していたとすれば浮気が疑えます。ただし、それを浮気相手と使用したと裏付けるものが必要になるでしょう。
自分の知らない避妊具や道具を見つけたときは写真に収めておきましょう。
また、避妊具を使用したかどうかわかるように、小さく目印をつけておいても良いでしょう。
・日記やスケジュール帳
日記やスケジュール帳・カレンダーなどに浮気相手との予定やデートでの出来事が記載されている事もあります。出張へ行くと言っていたのにデートの可能性もあります。後で見返せば浮気のパターンが読み取れる事もあるので配偶者の行動が怪しいと思った時は遅くなった日や外泊の日をチェックしておきましょう。
・目撃情報
浮気の現場を目撃する事もあるでしょう。または友人などが配偶者の浮気現場を見つけて報告してくることがあります。そういった目撃情報は「見間違い」「勘違い」などと言い逃れされてしまう可能性があるので強い証拠とは言えません。しかし、さまざまな証拠と合わせる事で配偶者に浮気を認めさせる証拠となる事もあります。メモや日記に残しておくようにしましょう。
・交通系ICカードやETC利用履歴
会社に行っているはずの日に全く別の所に行っているなど交通系ICカードやETC利用履歴などから浮気の気配を感じるような内容が判明する事があります。
これだけでは浮気をしているという証拠にはなりませんが、浮気相手自宅の最寄り駅やよく行くデート先などの情報が得られることもあります。
スマホでICカードの履歴を読み取る事ができるアプリもあるので簡単に調べる事ができます。
こういった物は一つ一つでは浮気の証拠として弱いですが、様々な物を組み合わせたり数多く集めれば裁判官にも訴求する効果が多少あるかもしれません。
証拠を掴む際は無理をしないで!
配偶者の予定を把握したり、SNSや持ち物をチェックするなど簡単な調査であれば一般の方で絵も浮気の証拠集めはできる事もあります。
しかし、調査がエスカレートしてしまうとプライバシー権の侵害や不正アクセスをしてしまう事もあるので注意が必要です。
また、探偵が行う浮気調査を自分でもできるのでは?と考える方もいると思います。
探偵も人間ですし自分も人間ですから、探偵が行う尾行や張り込みも同じようにできるような気もしますが、実際にそういった浮気調査を行うのはかなり難しいものです。
もし浮気調査に気が付かれてしまうと、関係が悪化してしまったり、もっと酷いケースでは暴力事件と発展してしまう事さえあります。
さらに、気づかれてしまえばその後に浮気の証拠を掴むことも難しくなります。
証拠を掴むことは必要ですが、無理な調査は何もメリットがありません。
その後の展開にも悪影響を与えかねませんので、調べる時は無理のない範囲で行うようにしてください。
浮気の証拠収集は探偵に任せよう
自分自身で証拠を探した結果、強力な証拠が得られるケースもあります。ただし、そういった確実な証拠を見つけられるとは限らず、せっかく見つけた証拠も証拠として弱いため浮気を立証できないことや調べていることがバレてしまうことも珍しくありません。
それに対して探偵は、調査のプロであり尾行や張り込み、撮影などの調査スキル技術、豊富な知識も持ち合わせています。それは素人がマネできるようなものではありません。
また、浮気に関する法廷闘争にも精通しており、法的に十分な強い証拠を集める事が可能です。
また、浮気の証拠収集を探偵に任せると、自分が肉体的・精神的な苦労をする必要がないという大きなメリットもあります。探偵に任せておけば良いので配偶者にもいつも通りの態度で接しているだけです。
配偶者が浮気をしていた場合、その後の関係や慰謝料請求するかなどを考える必要があります。こういった内容はすぐに結果を出さずにしっかりと考えて決断しなければいけません。探偵に調査をしてもらっている間に落ち着いてよく考えましょう。
優れた探偵ならば、離婚や慰謝料請求まで想定した浮気調査を行います。たとえ法廷で争う事になっても探偵の作成した調査報告書により優位に話し合いをすすめられる事でしょう。
無理して自分で調査するよりも、やはり信頼できる探偵に任せた方が負担が少なく確実と言えます。
まとめ
配偶者が浮気をしているのでは?と思ったら、問い詰める前に浮気の証拠を集めましょう。
その際自分で行う場合は無理のない範囲で行う事が大切です。
また、証拠と言っても強い物とそうでない物があります。ラブホテルへの出入りの様子などを映像に収めると強い証拠となりますが、一般の方が行うと相手に気づかれてしまうなど大きなリスクを伴いますので調査のプロである探偵に依頼する事をおすすめします。