浮気と不倫はどう違う？法的定義と慰謝料請求ができるのはどんなケースか
男女間のトラブルで「浮気」や「不倫」という言葉はよく聞くのですが、これらのワードについて詳しい違いや定義を知らないという人もいるのではないでしょうか。
また、そういった男女のトラブルで慰謝料請求する、されるという話を聞いたことがある人もいるかと思いますが、どういったケースで請求できるのかハッキリとわからないという人もいると思います。
この記事では浮気と不倫の違いや定義について解説し、慰謝料請求できるケースについてもご紹介していきたいと思います。浮気と不倫について違いを知っておきたい方、今パートナーが異性と関係を持っているようだから慰謝料請求したいと考えている方など、浮気や不倫、慰謝料について詳しく知りたい方はぜひ最後まで読んでみて下さい。
辞書で調べた浮気と不倫
浮気や不倫問題は誰にでも起こりうることなので、今まで自分や周囲の人が被害者もしくは加害者になってしまった事があるかもしれません。
そういった身近問題ですが、その違いについて詳しく知らない人もいます。
まず、この「浮気」と「不倫」という言葉について辞書で調べてみました。
辞書で「浮気」の言葉を調べた結果、「心が浮ついて心慮に欠けること」「浮かれて陽気になるさま」「特定の人に心がひかれやすいこと」などと出てきました。
他方、「不倫」という言葉については、「配偶者以外と肉体関係を持つこと」「男女が超えてはならない一線を越えて関係を持つこと」などとなっている事から、
「浮気」は、婚姻関係に関係なくパートナー以外の異性に関心を持つことを指し、「不倫」は、既婚者が配偶者以外の人と肉体関係を持つことを言うと解釈できそうです。
そうなると『既婚者が関わる』『肉体関係』がある場合に限り不倫と呼ぶとなると、どちらかの条件がなければ男女の恋愛トラブルは浮気という考え方もできます。
例えば、カップルで男女のどちらかが他の未婚の異性と肉体関係を持っても、それは不倫とは言わず浮気になり、他の既婚している異性と肉体関係があれば不倫になると捉える事ができます。
このように、辞書の説明においても両者は似ているようで違う意味合いを持っている事がわかりました。
では、それぞれについて法的な定義はどのようになっているのか次の項で見ていきましょう。
浮気の定義とは？
独身同士の自由恋愛で起こる「浮気」に関して、どうなったら「浮気」になるという法的な基準があるわけではないので、個人の価値観や考え方によって浮気の定義が変わってきます。
一般的によく言われる浮気の定義、別の表現をすれば「浮気のボーダーライン」としてあげられるのは下記のようなものがあります。
・連絡マメにしていたら
連絡をよくするのはその人に少なからず興味があるからと感じる人もいます。それなりに仲が良ければ友達であっても頻繁に連絡する事もあるかもしれませんが、それがやたら多いとかかわいいスタンプを送っているとか、朝の挨拶から夜寝る前まで異性相手にマメに連絡していたとしたら、その人に気があるのでは？と疑う事もあるでしょう。
・異性と二人きりで会ったら
勿論恋愛関係にある男女も二人きりで会いますが、友達関係や仕事上の付き合いで二人きりで会う事も珍しい事ではありません。もし恋愛感情が無く二人で会っていたとしても、そこから次第にいい雰囲気になり恋愛に発展する可能性は否定できません。
そういった理由からも異性と二人だけで会う事を嫌がる人は多くいます。二人きりだと他人からの視線が無いので、お酒が入った勢いで…という話もよく聞きます。ただ会うだけではなく、元々下心があったのでは？思ってしまう事もあるのではないでしょうか。
・相手の存在を隠したら
隠すからにはやましい事があると考える人もいるでしょう。何も悪い事をしていなければ堂々としてられるのでは？と感じるので、相手の存在を隠された場合その異性と浮気関係を疑います。
異性と連絡を取り合う事や二人きりで会うのは全然かまわないけど、それを隠されて気が付いてしまった瞬間に浮気されていたと感じてしまう事があります。
・キスをしたら
海外の文化では挨拶でキスをする事はあるかもしれませんが、日本ではそういった風習はみられません。そのため、異性の友達とキスをすることはあまり一般的ではないので、この辺りを浮気のボーダーラインとして意識している人は多いです。
周りから見ても、キスをしている二人を見れば友達以上の関係だと感じるでしょう。
・肉体関係を持ったら
どんな状況であろうと、自分以外の異性と肉体関係を持った場合は完全に浮気！と判断する人が多数です。もし既婚者だったとすれば、配偶者以外と肉体関係を持った場合は不法行為になるような問題のため、浮気と判断する人が多いのも当然と言えます。
個人が考える浮気のボーダーラインは人それぞれなので、以上の例はほんの一部です。
また、どこから浮気になるかというのは女性と男性でも考え方が異なってきます。
以下で男女の浮気に対する考え方の違いについて解説します。
男女で違う浮気に対する考え方
どこから浮気とするかその定義は法律で定められていませんし、一人一人の感覚で異なってきます。個人で異なりますが、傾向として女性と男性でも浮気のボーダーラインに対する考え方が違うようです。
女性はボーダーラインを厳しめに設定している方多い傾向です。そのため、二人きりで食事をしていたら浮気と判断する人も少なくありません。
もう二度とその女性と二人きりにならないように約束させるようなこともあるかもしれません。
一方男性は女性に比べボーダーラインが緩めの人が多く、肉体関係を持つまでは浮気ではないと考えている人も多くいます。
また、バレなければ肉体関係を持っても浮気じゃないという考えの強者もいるようです。
これらはあくまでも傾向としてなので、男性も女性も上記の考え方が全てではなく、男性でもパートナーの気持ちが少しでも他に向いたら浮気だと捉える人もいますし、逆に女性でも体の関係がない限り浮気ではないという基準の人もいます。
大体の人がパートナーの浮気に対するボーダーラインを自分に当てはめ、「これをしたら浮気になるからやめておこう」と判断する事が多いです。しかし、中にはパートナーに対するボーダーラインと自分に対する浮気のボーダーラインが違う人もいて、そのような人の場合、自分は異性と二人でご飯を食べに行ってもいいけど、パートナーが同じことをしたら浮気と判断するような理不尽な人もいます。
このように、浮気のボーダーラインはここで異なるため、後にパートナーとトラブルにならないように、どうしたらお互い浮気と感じて嫌な思いをするか等、話し合いをしておくと良いでしょう。
不倫の法的な定義とは？
浮気に関しては法的な定義はありませんが、不倫に関しては別です。もう少し正確に言うと、不倫という言葉は法律用語ではなく、不貞とほぼ同義で用いられ、法律的という観点では不貞行為のことを指します。
ここからは法的な不貞行為の定義について解説していきます。
不貞行為の法的な定義とは
不貞行為とは『 配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと』と定義されています。
そのため、婚姻関係が無い人がいくら誰と肉体関係を持とうと、不貞行為にはなりません。
この定義について少し詳しく見てみましょう。
- 「配偶者のある者」＝婚姻関係にある夫婦・婚姻届けは出していないが内縁関係にある者
ただし、婚姻はしているものの、長い期間別居しているなどでその夫婦関係が破綻しているとみなされる場合はこれに該当しません。
- 「自由な意思」＝自らの考えで行動を起こすことであり、脅迫や強姦されたのであれば自由な意思とは言えません。
また、不貞行為は民法上不法行為にあたると解釈されています。
民法第770条第1項に規定された、法定離婚事由として認められる離婚原因のひとつになり、民法709条により損害賠償の義務を負うものとなっています。
よって、不貞行為が証明できれば、離婚や慰謝料請求ができるということになります。
慰謝料請求の際に必要な条件
先に少し触れたように、慰謝料請求の法的根拠は民法第709条に定められている不法行為に基づく損害賠償によるものです。
よって、配偶者の不貞により慰謝料請求をするのなら、それに該当するということを証明しなければいけません。
まず、『配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと』という事実があるということです。
これについては一つ前の項不貞行為の定義で解説しました。
簡単に言えば、「既婚者(内縁も含む)が自分の意思で配偶者以外の人と肉体関係を持った」という事実です。
まずこれに該当しなければ慰謝料請求はできません。
- 配偶者がいる
まず、既婚者である事を証明するのは簡単です。戸籍謄本などを見れば一目瞭然です。ただし内縁関係で会った場合は少し難しくなるかもしれません。家計を共にしている事や一緒に生活しているなどの情報で証明する必要があります。
- 自由な意思に基づいて
自らの行動で行ったことですから、自由な意思を奪われた状態(レイプなど)でなければこれに該当します。
- 肉体関係を持った
そして、この中で一番難しいのが肉体関係を持ったという事実の証明です。配偶者が肉体関係を認めていれば、この内容を証明するのは容易かもしれませんが、多くのケースで否認する事があります。肉体関係を否認されてもその行為があった事を証明できるような証拠を押さえる事が必要です。
また、民法第709条に定められた不法行為による損害賠償請求では、その不法行為が故意や過失であり、それによって権利損害があった場合に損害賠償の責任を負うとされています。
- 故意や過失がある
「既婚者であることを知っていた」（故意）
「既婚者であることを不注意で知らなかった」（過失）
このどちらかの事実がなければいけません。
例えば、不貞を行った相手が既婚者であることを知らず、注意していても既婚者であることを知りようがなかったという場合には、故意も過失もないので、相手に慰謝料請求ができないことになります。
- 損害が生じた
その不法行為によって損害が生じたかどうかも重要です。この損害というのは物品に関してもですが精神的なダメージなども法的には損害と考えられます。
よって、不法行為があったとしてもその事実だけでは慰謝料は請求できません。
不貞行為の損害としてよくあるのは、家庭の崩壊です。今までと変わらない生活を送れているようならば損害はあまり無いと考えられますし、離婚することになったとすれば大きな損害があったと考えられる傾向となります。
例えば、長期間別居していて夫婦関係が破綻しているとみなされるような場合では、肉体関係があった事を証明できても不貞行為が原因で家庭が壊れたとは言えず、慰謝料請求ができない可能性があるという事です。
- 時効消滅していない
慰謝料請求には時効があります。この時効を経過してしまうと、慰謝料を請求する権利が消滅してしまいます（時効消滅）。
時効は原則不貞行為を知ってから3年以内となっているので、それまでに請求をしなければいけません。
最低限あげても慰謝料請求には以上のような条件があります。また、他にも条件はあり難しい部分も多いため、専門家に相談すると良いでしょう。
慰謝料請求したい時にしてはいけない行動
配偶者に不倫されてしまい、これは慰謝料請求しなきゃ気が済まない！と思う事もあるでしょう。離婚するかしないかはともかく、配偶者の不倫により精神的ダメージなど損害を受けたのなら慰謝料を請求できる可能性はあります。
しかし、先述したように慰謝料請求するには多くの条件があります。その条件をすべてクリアするためには、配偶者の不倫を知った後の行動が大きく影響してくることがあるのです。
ですから、不倫を知って慰謝料請求をしたい時はしてはいけない行動を行わないように注意してください。
この項では不倫されて慰謝料請求したい時に「してはいけない行動」についてご紹介します。
- すぐ不倫の事実を確認する
配偶者が本当に不倫をしているか確かめるには「本人に聞くのが一番！」と一瞬思うかもしれませんね。しかし大きな間違えに気づくでしょう。そうです、自分に不利になる条件をわざわざ事実を知らない人に教える訳がないのです。よっぽど確実な証拠があるのなら認めざるを得ませんが、ちょっとしたデートの様子を写真に撮ったものを突き付けて「浮気してるよね？」と聞いたとしても、白状しません。
また、白状しないだけならまだしも、証拠隠滅や今まで以上に警戒をするようになり証拠が取れなくなります。ですから、疑っている様子も出さないように気をつけてください。
- 無理な証拠集めを自分でする
慰謝料請求するためには様々な事を証明する必要があります。その証明のために証拠を掴もうとするのは当然の行動と言えるかもしれませんが、不貞を証明できるほどの証拠を掴む方法は難しい方法が多いのが現実です。
「絶対に慰謝料請求してやる！」と張り切ってしまうかもしれませんが、無理な証拠収集をすると配偶者に気づかれてしまう可能性も高く、しかも知らぬうちに違法行為を行ってしまう危険もはらんでいます。
慰謝料請求するために行っていた行動が、今度は自分が訴えられる立場になってしまうかもしれません。
慰謝料請求したいなら探偵に証拠を掴んでもらう
慰謝料請求する際はさまざまな条件があります。簡単に証明できる物からなかなか証明する事が難しい事までありますが、その中でも肉体関係を証明するのはある程度限られた証拠でしか証明する事ができません。
その中でもメジャーなものがラブホテルへの出入りを写真に写した物です。
これは浮気調査をする探偵がよく手に入れる不貞の証拠でもありますが、これがある事で慰謝料請求は大変スムーズになる事でしょう。
ならば、ホテルの出入りを撮影しようと自分で調査を行おうとすると大失敗に終わる可能性が大いにあります。
基本的に浮気調査は対象者に気が付かれるわけにいきませんが、まず面識がある人が視界に一瞬でも入るだけですぐに気が付かれます。それだけでも配偶者の浮気調査を行うには不向きです。
また、そんな不倫現場を目の前にして冷静でいられる人も多くありません。怒りのあまり乗り込んでしまう人もいるくらいです。
現場にいて目の前で見たことを慰謝料について争う法廷で証言したとしても、配偶者に「そんなことはありません。虚言です」と言われたら、もしかしたら裁判では配偶者の意見が通ってしまう事も考えられます。
やはり、不貞の証拠は浮気調査のプロである探偵に依頼して安全に確実に掴んでもらう事が望ましいのです。
まとめ
浮気と不倫の定義がおわかりいただけたでしょうか？
浮気は主に婚姻関係のないカップルに対して使われる事が多く、その定義も法的に決めれたものはありません。その代わり、考え方や価値観の違いのせいでトラブルになる事もあります。お互い嫌な思いをしないように、ボーダーラインについて話し合う時間を作れると良いでしょう。
一方、不倫は法的に定義されているように配偶者のいる人に対して使われ、不貞があれば不法行為になるため条件をクリアすれば慰謝料請求が可能です。ただし、条件をクリアするために証拠も必要となりますので、取得が難しい証拠については自分で行わず探偵の浮気調査でしっかりと掴んでもらいましょう。
